peer

~ナザレのイエス~

回想7

試験

その後、次男は一般の試験を受けることだけは変えなかった。
迷ってはいたが、面接で絵を持っていき、
試験官に見せることだけのために受験すると決めたようだった。


学力試験当日を、3年生の11月から全く勉強せずに迎えたあの子が
どれだけやれるのか分からない。でも前向きにやると言ってくれた。

みんなも応援してくれている。どれだけ心強かったか。。。

前もって、試験当日にセッションを予約しておいた。
とても独りでこの時間を過ごすことができないと思ったからだった。

私はセッションで統合のワークをして、自分自身を整えた。
おぞうたまのセッションがあることがとてもありがたかった。


その日の夕方、次男は明るかった。
もともと試験の出来を云々する訳ではないあの子にとって、
5教科のテストの出来はなんであれ、
最後までやり切ることが、あの子にとっては今日のすべてだった。

私もどれだけ安堵したかしれない。
 
次の日は面接である。

公立高校の受験面接は、持ち込み禁止だった。
担任の先生には「絵を見せることはできないからな」そう言われていた。

娘も馬鹿なことはやらない方が受かる可能性があるからと大反対だった。

おぞうたまには、前もってゲリラ作戦を提案していただいていたが
直前まで、試験自体受けることを決めかねている状況でそのままになり、
結局何も準備することができずに、そのまま絵を持っていくことにした。

私は高校で面接前に持ち込んでいいかどうか聞いて、
ダメだったらあきらめなさいと言って、そのまま出かけさせた。

しかし、それは無残にも打ち砕かれた。
高校に行き着く前、集合場所の駅で中学の先生に没収されてしまったのだ。

先生から電話があった。「絵、なんですけど。。。ダメなんで没収になりますが、
僕たちには手渡したくないと言っているので、お母さん取りに来てくれますか?」

中学を毛嫌いしているので、先生にも渡すことを躊躇しているというのだ。
すぐに取りに行ったが、もう電車の時間だからと、先生に絵を渡していたようだ。
結局先生から絵を手渡され、あの子の様子を見ることはできなかった。

私の気持ちは最大限に動揺していた。
どんな気持ちでいるのだろう?
あの子は絵を見せるために受験すると決めたのに、
肝心の絵が見せれないだなんて。。。

こうなるのは分かっていた当然の結末ではあったが、せめて高校まで持っていき、
そこで本人に聞いてみさせることぐらいさせてあげたかったと悔やんだ。

あの子はふてくされずに、ちゃんと面接できるだろうか?
学校では何も面接の練習をしていない。他の生徒はバッチリ練習している。
そんな中、失敗したりするんじゃないのか?
そもそも、ちゃんと受けてくるのか?
 
不安は尽きなかった。

けれど、あの子はちゃんと面接を受けて来たようだった。
話は上手くまとまらなかったけれど、美術部への情熱を伝えてきたと言っていた。

しかも、美術部の先生が試験官の三人の中にいたという。
すごい偶然である。
娘の卒業アルバムを見て、娘がどの先生がいたの?と聞いていて、
それが分かったらしい。
 
私はイエスさまに感謝を捧げた。。。
 
結果はまだ分からない。
とにかく卒業、試験まで、やり遂げた。
 
それだけで十分だ。
 
 
このゆらぎの世界、今もナザレのイエスさまが導いてくださっている。