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~ナザレのイエス~

回想3

そして、2/18 次の日。

あの子は、暗い顔のまま、昨日の話しを学年主任に言いに学校に行った。

私はどうなるか分からない思いで心臓が押しつぶされそうだったけれど、
とにかく本人の口からちゃんとその意向を話して、
あとは学校側の対応を待とうとしていた。


電話が鳴った。

学年主任の先生が唐突にこうおっしゃった。
「さっき次男君が、授業は出れないから推薦でなく一般でお願いしますと
言っていたので、お母さん、いいですか?推薦は取り消しということで」

私は昨日話していた『授業は出たくないけど、推薦にしたい。』
本人の思いと違うことを話していると思ったので、
「えっ?本人からそう言い出したんですか?」と聞く。
 
先生は「ええ、あれからどうなった?と聞くと、
本人からそう言いました。」とおっしゃる。


私はとにかく「待ってください、本人と話してからでいいですか?
夕方にはご連絡しますので。。」と待っていただいた。


珍しくたまたま家にいた長男と娘も、血相を変えて電話で話している私を見て
「どうした?先生、なんて言っていたの?あの子大丈夫なの?」と
電話を切った後、心配そうに聞いてくる。

「大丈夫も何も、あの子。授業に出ないから一般にするって言っている。
なんか、昨日と話が違うし。。。」


私はさっそくおぞうたまに緊急セッションをお願いして、相談することにした。
そして、その支度をしている時に、玄関のチャイムがなった。

出ると、学年主任の先生がいらっしゃる。

「さきほど、校長先生に今の現状の話しをしまして、それでは推薦できないから、
次男君には一般で頑張って欲しいと言われました。
心苦しいのですが、学校側としてはこれは決定事項なので。。。」

そうおっしゃられるので、
「いや、待ってもらえることできますか?
とにかく夕方本人と話し合ってからお返事しますということでお願いします。」
と言うと、

「何か異議申し立てがあるのなら、校長と直接話し合ってもらう形になります。
まぁ、校長も忙しいですが・・・」

「はい、ではそのようにしてください。
とにかく子どもと話してからまたご連絡します。」



とにかく、おぞうたまのところに駆けつけ、お話すると、
おぞうたまはこうおっしゃった。

「何か大きなことをする前に、必ずセカンダリーが浮上する。
今回のことはセカンダリーが動き出したんだ。
まずは、これがセカンダリーであることを認識すること。
 
そして、何かを成し遂げようとするその直前、ブレイクダウンが起きる。
もうだめだということが起きるんだ。これもそれだ。」


私はおぞうたまに、自分のなっているもの、
母親という仮面を被り続けることが苦痛でしかたない旨を話した。


あの子を見ていると、
もうこの子は本当に中学校は必要ないのかもしれないと思うし、
今後、もし高校に受かっても授業はある。
私の本心は、あの子にどうしても高校行ってもらいたい気持ちがあるわけではない。

新しい環境で、新しく授業を受け止められるなら、やっていける可能性もあるけど、
私自身は、母親という仮面を取ってしまえば、
もうこの子のこの先は自分のやりたいようにしてやった方がいいのではないか?
と思っている。

しかし、そんな自分の思いとは真逆の、母親としての役割として心配しながら、
常識の道へと導こうとしていることに苦痛を感じている、と吐露した。


おぞうたまは、こうおっしゃった。

「これまではこの世の流れに巻き込まれていたけれど、そうでない道がある。
エスさまの道は、この世の道ではない。
未来を考えると不安や心配が出てくるが、もう頭の中で未来を考えない。
 
あなたは、まず一般で受験すると決めた次男君のサポートするとだけ決めること。
受かる、受からない、受けた後に、この先バイトする、しないは、
結果が出た後に考えればいい。」

「もうこの世の道に乗らないことです。」そう、きっぱりおっしゃった。

そしておもむろに、「次男君は何時ごろに学校から帰ってくるの?」とおっしゃる。
「たぶん5時ごろになると思います。」そう応えると、
「では、次男君と校長先生に話しに行きましょう。私も同行します。」