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~ナザレのイエス~

回想6

卒業
 
次男は相変わらず学校を休み、絵ばかり描いていた。
一度は自分で出した鼻血を絵の具代わりに絵を描いては面白がっている様子に、
このこは大丈夫かしらと本気で心配になってしまっていた。

それでも、朝は必ず本人が学校に電話し、休むことを伝えることは続けた。
その時、担任の先生が今日一日の学校行事を伝えてくださり、
次男は学校との関係を全く絶った訳ではなかった。


卒業式、出るかどうか、本当に直前まで決めかねているようだった。
しかし、娘から「卒業式ぐらい出たら?」と勧められ、
また担任の先生も前日にわざわざ家まで足を運んでくださり、
卒業式に出ないか?と促してくださり、出ることに決めたようだった。


3/5 当日は卒業式の練習をしていないにも関わらず、
周りの友だちの様子を見よう見まねでなんとか切り抜けた。

大地三唱、校歌、卒業の歌もちゃんと歌っている。

最後は数人の友人たちと笑いながら写真を撮ったりしている。

拍子抜けするぐらい、楽しんでいる。。。

授業のことを、監視されて無意味なことをやり続けてるだけと言い放ち、
学校の雰囲気が気持悪いといい、自分の部屋に学校関係のものを一切入れず、
どんだけ神経質なんだ?と心配していた私。

それが、どうだろう。今、目の前のあの子は全然違う。
不登校のあの子を普通に受け入れてくれている友達がいて、
楽しそうに雑談している。


それだけじゃなかった。

同級生のお母さんが、わざわざ私に「次男君、絵がメチャクチャ上手いね~!」
と話しかけてくれた。
「うちの子がこれ○○の絵だよ!」と見せてくれたんだよ。」と話してくださる。

ビックリした。
中学の一年間の終わりに全校生に配られる本の表紙になった次男の絵を見て、
言っていただいた言葉だった。

あの子の絵をお母さんに見せてくれる子がいるというのだ。
しかも、その子は次男と特別仲がいいわけではない。

励まされた。。。
あぁ、次男は私が思っている以上に何かを持っているのかもしれない。

私は自分が狭めてしまっていたあの子の見方を恥じた。